自分の価値観も、仕事のやりがいも大切にしながら働く

「土地家屋調査士」と聞いて、どんな仕事をしているのか答えられる人は、そう多くないかもしれません。

弁護士や司法書士と同じ士業ですが、表舞台に出ることも少なく、まさに「縁の下の力持ち」という言葉がピッタリの職種です。

そんな土地家屋調査士業を豊田市花園町で営む丹羽事務所（株式会社ラフタニワ・プリンシパルオフィス）の皆さんにお話をうかがってきました。

土地家屋調査士はどんな役割を担っているのか、そのやりがいや苦労。丹羽事務所という会社の風土、そして代表取締役の丹羽さんの働くことに対する想いが見えてきます。

不動産に関係する仕事をしていたり、土地を所有している人でないと、「不動産登記」という言葉に、まずあまり馴染みがないかもしれません。登記とは、「この不動産は◯◯さんのものです」と国から認めてもらうために、土地や建物などの権利を明記する法律上の手続き。

登記をするための最初の段階として、土地や建物の調査・測量をして不動産の形状や位置、利用目的などを明確にするのが土地家屋調査士の仕事です。

外での作業が多く体力勝負な面もあれば、図面の作成では正確な作業が求められたり、測量する不動産の関係者や隣人と接する際にはコミュニケーション能力が必要だったりと、決して単純なスキルだけで成立する仕事ではありません。

それでも、土地の売買や建物の建設がある限り、必ず社会から必要とされるのが土地家屋調査士。派手な仕事ではなくても、やりがいを感じられる仕事です。

丹羽事務所の測量を担当されている社員さんは、「自分の測量した土地に家が建って、そこで楽しそうに暮らす方を見たときは喜びもひとしお」と語ってくれました。

不動産屋登記や測量というと、専門性が高く、知識がない状態で飛び込むにはハードルが高そうに聞こえます。

ところが、代表の丹羽さんはむしろ未経験の方を積極採用したいと言います。

経験や資格を持っていることが必ずしもプラスになるとは限らず、反対に新しいことを学んだり、柔軟な発想をしたりするための足かせになることすらあります。いろいろな人が集まることで、会社としての幅も広がっていくという考え方です。

そして、土地家屋調査士の仕事と言っても、測量の作業から図面作成、役所や法務局で手続きや事務まで、その業務内容は様々。

裏を返せば、資格をもっていなくても、自分の得意なことを活かしてできることがたくさんあるということです。

実際に丹羽事務所には、土地家屋調査士の資格を目指して勉強しながら働いている方もいれば、そうではなくても、資格を必要としない部分で活躍している方もたくさんいます。

従業員さん同士の仕事のしやすそうな距離感や、事務所に流れる落ち着いた雰囲気は、それまで歩んできた経歴よりも、人物重視で採用を行っているからこそ生まれるものなのかもしれません。

従業員の仕事や生活に対する向き合い方についても、丹羽事務所ではそれぞれの価値観を最大限に尊重する仕組みができています。

誰にとっても有限である時間を有効に使うため、業務を効率化して完全19時退勤を目指して残業削減に取り組んだり、早い時間・遅い時間の現場仕事では直行直帰を推進したり。

原則として土日祝日を完全に休みにし、業務の落ち着いてくる年末には長めの休暇を設けています。

そして、産休・育休に限らず、子育て中の従業員は子どもの事情を優先できる体制があり、従業員同士もお互いへの理解がきちんとできている。

取材をしていて思わず唸ってしまうほど「働きやすい環境」が整っているところだと感じさせられます。

しっかり学んで資格をとって、キャリアアップしたい人をバックアップする制度も。

土地家屋調査士の資格取得のためのスクールに通う場合、費用を事務所が負担したり、試験前の追い込み時期には勉強のための休暇が与えられます。

さらに、経験を積んで自ら事務所を起ち上げたいという従業員も応援しているとのことです。

実際に独立して活躍している土地家屋調査士の方も数名。お互いに同じ業界の仲間として助け合える、良好な関係であり続けているそうです。

このようにスキルを高めていきたい人を全面的にサポートすることで、事務所全体のスキルアップにもつながる。

そして仲間を増やすことで、地場での仕事もよりスムーズにいくようになる、ということ。

言葉では簡単に言えても、実践するのは簡単ではないはず。

それを実現できているのは、軸を持った経営と、それに共感して集まってくる従業員の方々あってこそなのでしょう。

丹羽さんが大切にする「各々の価値観をしっかり確立し、自分のライフワークプランを立てること。そのうえで、自分らしく働くこと」という想いを、この事務所のあり方で体現しています。

自分のとって大切なものを守りながら、しっかり仕事にも向き合っていきたい人。

周りの人と、お互いにお互いの価値観や美徳を尊重し合っていきたい人。

そんな人には、きっと充実した日々をもたらしてくれる職場になるのではないでしょうか。